医療学部 共通カリキュラム

チーム医療の実践者に求められる能力の育成

 天理医療大学は、総合基礎科目・専門基礎科目での看護学科・臨床検査学科の共通カリキュラムにより、専門分野の枠を越えて共通に求められる知識や思考等の知的な技法の獲得、人間としての在り方や生き方に関する深い洞察、現実を正しく理解する力の涵養に努めることができる人材を育成します。また、専門科目の実習においては、天理よろづ相談所病院を主たる実習施設とし、実習を行う臨床の現場のスタッフと教員が教育に対する責任を共有することで、大学と臨床が一体となって実習を行います。

共通カリキュラム
授業科目、授業の方法及び内容並びに年間の授業計画(シラバス)

大学及び学部の特色

 天理医療大学の目的は、「人に尽くすことを自らのよろこびとする」という天理教の信条教育を基調として、自ら積極的に医療に関わる専門性の高い知識と技術を修得し、真摯に科学する精神を育み、人に対する深い愛情と自分を律する謙虚な心をもってチーム医療の一員としての役割を果たせる人材を育成することにあります。この自律と協働する力を持った医療者を育てるという教育研究上の目的を達成するために、天理医療大学(医療学部)は以下の特色を有しています。


1.コミュニケーション能力を高めるために協働して行うグループ学習や演習の重視

 家庭において家族に支えられて育ち、学校という社会から守られた場で、どちらかというと受け身の教育をうけてきた学生たちが、大学の教育の中で、社会に目をむけ、社会の中で働くということ、そして「人に尽くす」ということがどういうことであるかを理解し、その中で最も大切なことは、他の人との関わり合いであり、コミュニケーションであることを自覚することが重要となります。
 天理医療大学では、総合基礎科目を人と社会を知るための教育と位置づけ、人の営みを様々な角度から学び、それぞれに異なる歴史や生活環境を持った人々を理解できる能力を養います。そのために、重要なことは、それらをコミュニケーションや、協働した作業を通して学ぶことです。総合基礎科目においてコミュニケーションのデザインという視点からの教育カリキュラムを編成し、アーリー・エクスポージャーとして行う科目やフレッシュマン・セミナーを1年次に開講し、初年次教育からコミュニケーション能力を高めるために協働して行うグループ学習や演習を重視しています。

2.協働する力を養うために学科や学年を超えた共講科目の配置

 社会において協働する力を発揮するためには、立場や年齢など異なった人々と協働する力が求められます。総合基礎科目及び共通専門基礎科目はすべての看護学科と臨床検査学科の学生が共通に履修することのできる科目としています。初年次から、医療人としての幅広い観点の育成、多様な専門職と協働していく人間関係の能力の素地を形成するために「人間関係とコミュニケーション」「フレッシュマン・セミナー」、アーリー・エクスポージャーとして「医療実践基礎実習」を両学科の学生が少人数のグループに分かれて演習や実習を行い、学科を超えて協働する力を養います。
 1年次~4年次に配置されている「生命と芸術実践演習Ⅰ~Ⅷ」においては、コミュニケーションのデザインという視点からの教育カリキュラムとして学生が学科を超え、学年を超えて、それぞれ多様な選択科目を共に履修することを可能にしています。さらに、2年次では「相互扶助論Ⅰ」、3年次では「相互扶助論Ⅱ」において、第三者に対して協働して援助することを学びます。そして、4年次では「総合臨床演習」において両学科の学生が少人数グループの演習を行い、それまでに学んだ専門の知識や技術を活用して協働する力を養います。
 これらの科目において、お互いに学び合い、教え合うという相互の教育力を育むことができます。


3.自律する力を養うために探索的・自主的学習の支援

 医療実践においては、コミュニケーション能力、協働する力とともに、その基礎となる知識と技術がなければ、その力を発揮できません。専門的な知識や技術を付与する教育は、教員から学生に一方向で知識を伝達するという教育方法が主にとられてきましたが、学生が自ら積極的に知識や技術を学びとる学習態度を持たなければ、試験に合格すること、単位を取得することが目的化し、医療実践の場で活用できる生きた知識となりにくいのです。
 そこで、天理医療大学においては、学生の探索的・自主的学習を支援するために、eラーニングを導入し、学生が自由にウェブ上の教科書やテストにアクセスをして、自己学習と自己評価ができるようにします。特に、事前学習あるいは事後学習としてウェブ上のテストを受けることで、授業への準備状態を高め、授業で学んだことを確認し、その履歴をみることで、自分の学習状態を日々評価することが可能となります。このように、医療専門職としての知識や技術の修得にあたって、講義や演習だけでなく、自己学習と自己評価を行うことで、自ら積極的に知識や技術を学びとる学習態度を身につけることができます。

4.臨床に基づいた教育の重視

 医療の実践者として協働した実践の基礎力を獲得し、高めて行くためには、基礎的な知識、考え方、特に医療の現場において遭遇する問題を解決する方法を身につけることが必要です。医療における問題は、医学的な因子だけでなく、患者などの対象者や家族の考えなどの個人的な因子、住環境などの地域的な因子、医療費や保険などの社会的な因子が絡み、問題の解決を困難にしていることが多いのです。
 したがって、医療における問題を解決して行くために、医療の専門家としてそれぞれの領域の知識や技術などの能力を高めるだけでなく、問題を多面的にとらえ、総合的な解決策を模索していかなければ、本当の解決には至りません。そのためには個人ではなくチームとして問題解決にあたる必要があります。それがチーム医療の意義です。
 このチーム医療の原点を学ぶために、1年次には医療におけるさまざまな専門分野を理解し、医療者として共通に求められる基盤を獲得し、2年次には協働的活動を通して連携し合って医療活動を展開する協働する力の素地を育成し、3年次には社会システムを含めたチームの中でそれぞれの専門とする職種がどのように機能するべきかという専門性の理解を深め、4年次にはチーム医療の場における多様な実習科目で体験的に学習を深めるとともに、安全な医療の提供をめざした連携について具体的な課題に取り組みます。1年次~4年次までの段階的な2学科合同・横断的カリキュラムの展開によって医療チームを構成する各専門職の専門性や自己が果たす役割について 理解を深めながら、他職種との協力・協働について、4年間にわたり、図に示す科目を開設し、継続的で多様な協働的学習を取り入れます。
 さらに、天理医療大学の専門基礎教育及び専門教育の講義と演習においては、天理よろづ相談所病院の看護師、臨床検査技師、医師等のスタッフを非常勤講師として採用し、臨床に則した講義や演習を行います。そして、専門科目の実習においては、天理よろづ相談所病院を主たる実習施設とし、実習を行う臨床の現場のスタッフと教員が協働して教育にあたり、大学と臨床が一体となって実習を行います。また、大学の教員も自分の研究を天理よろづ相談所病院などの臨床の場で行うことができるようにし、自らも医療を実践しながら教育に当たれるようにします。

共通カリキュラム
チーム医療を実践するために必要な学習の構成